ヒシャーム宮殿(パレスチナ自治区 エリコ)
パレスチナ自治区のエリコに行った主な目的は、世界最古の町の遺跡(テル・エスルターン)だった。
しかし、タクシー運転手のツアーの押し売りによって、強制的に他の観光地も見て回らされることになった。無理やり高いツアーを売りつけられ、テンションが下がりきった私がタクシーに揺られて向かったのがヒシャーム宮殿だった。
説明によると、ヒシャーム宮殿はウマイヤ朝からアッバース朝(730年~950年)の間、カリフの冬の保養所として使われていた。宮殿には、ホール、風呂場、上流階級の人々の居住スペース、噴水、門があったとされている。
中庭には星形のレリーフが埋め込まれた窓があるのだが、この星形は今エリコのシンボルとなっている。
訪問したのは昼下がりの暑い時間だった。まずチケットを買い、横の部屋でヒシャーム宮殿の説明のビデオを見た。そして遺跡見学。
最初は、無理やり連れてこられた場所なので、さっと見て終わろうと考えていたのだが、見出すと夢中になってしまった。
まず、石に掘られたレリーフが素晴らしい。
シンボルの星形は、ガイドブックで見るより大きく、ホールの真ん中で威厳を放っていた。周囲にある比較的小さい石にも、精巧な装飾が施されている。
モザイクは、風呂場に残っている。少し色あせていた。ただ、説明書きによると、当時は中庭を含めて床一面にタイルが敷き詰められていたようで、当時の宮殿の立派さを想像できた。
宮殿は「生命の樹」というモザイクも有名なのだが、残念ながら、修復中で見ることができなかった。
宮殿から少し離れた場所には、アッバース朝時代の居住スペースの発掘作業を行っている。
結局、太陽が照り付けて暑かったにも関わらず、くまなく見て回った。
遺跡の石はただ置いてあるという状態で、触れられるほどの距離(触らないが)で見ることができる。私が行った時期は他の見学者もおらず、穴場スポットを見つけたような気分になった。
嫌々連れてこられたものの、見学後は大満足で遺跡を後にした。
ヒシャーム宮殿は、ガイドブックでは、大きく取り上げられていない。
しかし当時のエリコの繁栄やカリフの権力の強さを感じられるスポットで、エリコに行く人がいれば、ぜひお勧めしたい場所だ。
行き方:行きにくいので、現地ツアー推奨。
自力で行く場合は、エルサレムからアラブバスでエイザリヤへ。そこから乗り合いタクシーに乗り換え。エイザリヤでは、バス停の向かいにタクシー乗り場があります。
エイザリヤのバス停・タクシー乗り場前。
イスラエルとはまるで雰囲気が違う。
<その他の写真>
◆ヒシャーム宮殿
◆ヒシャーム宮殿のパンフレット