イエス・キリストが生まれた場所・死んだ場所
イスラエル・パレスチナ自治区に巡礼者が多く集まるのは前の記事で書いた通りだ。
私は今回の旅で、嘆きの壁、岩のドーム、教会と色々な宗教施設を回った。どこも人々の信仰が詰まっていて、美しかった。
この旅行は無計画と言ってもいいほど行先を決めていなかったのだが、それでもエルサレムの聖墳墓教会とベツレヘムにある聖誕教会は事前に下調べの段階で何となく行きたいと思っていた。
クリスチャンではないものの、キリスト教系の学校で聖書を学んだことがある。「ベツレヘム」や「ガリラヤ」という地名は反応するし、イエス・キリストの誕生と最後十字架に磔にされたエピソードは何度も聞いた。
イスラエル・パレスチナ自治区はまさにイエス・キリストが生涯を過ごした場所で、2,000年の時を超えて人々を惹きつけてやまないこの人のゆかりの地は、多少なりとも見ておきたいと思っていた。
<聖墳墓教会>
初日の夕方に聖墳墓教会に行った。聖墳墓教会は、十字架に磔にされたイエスが死んだ場所に建てられており、カトリック、ギリシア正教、アルメニア正教など様々な宗派がお祈りできる構造になっている。
教会のドームの下にはイエスの墓がある。行くとこの墓を見るのに、観光客がひしめいていた。彼らはドームの周りでぐるりと列を作っている。その人の多さと言ったら!ディズニーのアトラクションのようだ。日本でも有名な神社やお寺には人が並ぶが、こういうのは世界共通なのだと思い知らされた。
私はあまり並ぶのは好きではない。しかしエルサレムに次来るのはいつか分からない。もしかしたら一生来られないかもしれない。そう思うと、これはお参りせねば!という気持ちになり、列に並んだ。
並ぶこと1時間。
外見は一見祠のようだ。中は人が一人は入れるくらいで、暖炉のような穴があり、床には星印がつけられている。人々はそこにかがんで、お祈りしていた。私も見よう見まねでお祈りした。
他にもイエスの聖骸に香油を塗った場所、各種礼拝堂など祈る場所があり、人が多く集まっていた。
<聖誕教会>
イエス・キリストが生まれた場所は聖誕教会として立派な教会になっている。着くと欧米諸国から来たツアー客が続々と中に入っていっているのが見えた。
前日、聖墳墓教会の列を思い出し嫌な予感がした。
不安は的中した。
中に入ると、教会の入り口から奥まで長蛇の列ができている。列は地下に続いていた。地下には暖炉のような小さな洞窟があり、中の床にはイエス・キリストが誕生した場所とされる星形の印が刻んである。みんなこれを見るために並ぶのだ。
結局、地下にたどり着くまで30分ほど並んだ。
地下は美しく飾られており、馬小屋らしさは微塵もない。馬小屋のレプリカや絵などあってもいいと思うのは私だけだろうか。
しかも人が狭い場所に人がごった返している。順番に洞窟の中にかがみ、星形のところにキスをしていた。大人から小さな子どもまで全員である。
私は万人の唇が触れたであろう場所にキスするのはかなり抵抗があり、手を触れるにとどまった。
パレスチナ自治区のベツレヘムにある。ここはエルサレムからバス停で一本なので比較的行きやすい。バス停から聖誕教会まで、商店街を歩くことができる。アラブ系の町なので、聖誕教会と近くのミルク・グロットの教会以外はキリスト教らしさはない。
聖誕教会は午前中に行ったのだが大正解だった。欧米諸国からの旅行者のツアーが来るので、遅くなると混む。
ミルク・グロットは聖母マリアの母乳がこぼれて白くそまった場所に建てられた教会である。聖誕教会から徒歩5分くらいだったと思う。
観光客が比較的少なく、落ち着いた雰囲気を持つ美しい教会なので、聖誕教会に行った際はぜひ訪問されることをおすすめする。
<その他の写真>
◆聖誕教会
教会内部
中庭
美しい回廊
聖誕教会前の広場
◆ミルク・グロット
洞窟のような作り。静かで落ち着く。